25話)



「なんで仮面ライダーなの?」
 券を買って座席に座り、ジュース片手に、ポップコーンをポリポリ。
 ポップコーンはおいしかった。これを食べると喉が渇く。開演を待つ間に二人してあらかた食べてしまって、ジュースも飲みほしてしまった。
 そんな事より、映画の内容だ。
 内容が内容なだけに、周囲に座る人たちのほとんどは家族連れだ。
 小さな子供が多くて、ガヤガヤゴソゴソ、走りまわる輩の姿は、当たり前のようにあちこちで見えた。
(雰囲気もあったものじゃないじゃない。)
 げんなりして言った真理に、歩は手を振った。
「仮面ライダーを、バカにしちゃいけない。意外に話もしっかりしていて、結構大人でも楽しめるようにもできてるんだよ。」
「そういう意味じゃなくって、初めての映画なんだから・・。」
「選べと言ったのは真理じゃないか。ゴジャゴジャ言わずに、一回見てみなって。」
 にこやかに言い切った彼は、満足げにイスに体を預けてスクリーンを見上げて、何か思い出したらしい。体を起こして、
「真理は知らないだろうけど、結構いい男も出ているぞ。」
 惚れるなよ。
 なんて真面目な顔をしていうものだから、笑ってしまった。
「惚れるわけないじゃない。バカにしないで!」
 以前のように言い返してしまい、ハッとなる。
 歩が、ジッと真理の顔を見ていた。
「はははっ。あの・・楽しみだわぁ。私ファンになるかも〜。」
 なんてごまかそうとしたら、かえって支離滅裂になってしまった。
 ドツボにはまって、目を白黒させる真理に、歩が一息吐いて、
「とにかく俺はこれを見たいんだ。
 仕事仕事で疲れた頭に、童心に帰れるこれは一番の癒しだからね。」
 と言うと、再びスクリーンに向きだす。
 それを合図のようにブーと音が鳴って、カーテンが開きだした。
 映画の宣伝が始まる。
 すべてが子供用の映画の宣伝だ。
 それを見るでもなく見ながら、真理はさっき歩の言った言葉を反芻していた。
(歩さん。疲れてないわけないわよね・・。)
 この映画を選んだ訳は、“癒し”だったのだ。
 ハッとなるくらいだった。
 映画が始まる頃には、あたり前のように歩に手を握られていた。
 そして、仮面ライダーは、彼が言った通りに、意外にそこそこ、楽しめるものだった。








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